原作 リザ・テツナー著「黒い兄弟」について







 一言で言うなれば、アニメの方が良い!!(笑)


理由はただ1つ、アルフレドの死に方が地味だからです(ぇ



 アニメでは、父親の弟・マウリッツィオと、その妻・グラゼーラに放火の罪をきせられたアルフレド、ビアンカの兄妹が、
イタリア国王の前で無実を証明し、それを成し遂げたあと、
聖バビラ教会でロミオ(原作ではジョルジョという名前ですが、ここでは「ロミオ」と呼ぶことにします)に見守られながら死んでいくんですよね。
 原作では、別に兄妹はこの極悪おじさん夫婦(その言い方はどうなの)に、罪をきせられたわけではないのですが、
兄妹が大きくなった時に仕返しされるのを恐れて、おじさん夫婦が兄妹を殺そうとした、だから逃げ出した、という風になっています。
 また、アルフレドが、シトロン(アルフレドの親方)のひどい仕打ちによって病気にかかるのは一緒ですが、
自由行動ができるようになったロミオがアルフレドを見つけた頃には、アルフレドはすでに病気になってしまっています。
アニメでは、まだ辛うじて元気な体だったと思うのですが……。
為す術もなく、アルフレドの病気は悪化していき、ロミオに自分の秘密と愛する妹・ビアンカのブローチと最後の手紙を託し、
誰に看取られることもなく、たった1人で死んでいってしまいます。



 アルフレドの容姿は、詳しくは書かれていません。ただ一言「上品な感じのする少年」とだけです。
だから、アニメのような金髪碧眼の美少年だったかどうかはわかりませんが、
「黒い兄弟」のリーダーとしてメンバーみんなから尊敬されているという点では変わってませんね。
だからこそ、何かもっと華やかに散ってほしかったというか何というか………。
だから、アルフレドに関しては私はアニメ派ですね。



 ストーリーそのものに関しては、アニメ同様ハラハラの連続でした。
私が何よりも意外だったのが、死神と呼ばれる人買い、アントニオ・ルイニがアニメよりもいい人っぽかったこと。
もちろん、残忍さはかなり持っていますが、ロミオとの約束を守ったところは「へぇ〜…」なんて思ったり(笑)
最後は警察に捕まり、裁判にかけられます。
脚本を書いていた島田 満さんは、話数があればここまでしっかり書きたかったとか。
33話で終わってしまったことが本当に悔やまれますね。
ロミオ達の逃亡劇は是非見てみたかったし、カセラ先生の息子にして、
ロミオの第二の親友・ロレンツォとの出会いも是非見てみたかった!



 そう、おそらくアニメのアルフレドは、ロレンツォをモデルにもしているんじゃないかなと思います。



「少年はジョルジョと同じくらいの年かっこうで、髪はまっすぐな金髪、目はすきとおるように明るく、細面の顔はきりっとひきしまっていました」



これが、ロレンツォの容姿を説明した一文。
アニメを知ってる人、アニメから入った人は、アルフレドを思い浮かべませんか?(笑)
しっかりとした教育も受けているし、何よりあのカセラ先生の息子ですしね。
原作のアルフレド+ロレンツォで、アニメのアルフレドが出来上がった。
私的にはそんな感じがします。



 あとは、「黒い兄弟」とくれば「狼団」!
ジョバンニとリナルドとファウスティーノの名前は出てきますが、あとは「猫」と呼ばれるメンバーが1人。
いや、他にももっといるんですが。
ジョバンニなんか「あばた」って呼ばれてるし、リナルドにおいては「片目」。
この二人、アニメで結構カッコいいのでかなり意外でした…(笑)
最初は敵対、あとから和解。このへんはアニメと同じ。
それに、ロミオ達のルガーノへの逃亡を助けてくれたのはジョバンニと「猫」と呼ばれた少年でした。
ニキータのモデルになったのはこの「猫」なんでしょうかね…?
容姿や性格が、あまりハッキリ書かれているわけではないのでちょっとわかりにくいところもあるのです。
二回目に読んだら、またわかることもあるかもしれないので、それはまたその時に。



 あ、それからロミオときたら、欠かせないのがアンジェレッタですよね。
ロッシ家のことについてもちょっと触れてみたいと思います。
 意外だったのは、おかみさん(アニメではエッダと呼ばれていました)がやせていたということ!!
イメージ的には、「ハリー・ポッター」のペチュニア・ダーズリーみたいな感じです。
すっかり、あの巨体のイメージで定着していたので本当にびっくりしました(笑)
意地悪ぶりは、息子のアンゼルモと共に原作でも健在。
っていうか、むしろアニメよりひどいです。木靴でぶたれ続けて、ロミオは一、二度死にかけてますからね。
 それと、これはロミオサイトさんを巡って知っていたことなのですが、アンジェレッタはアニメのように、
貴族の名門・モントバーニ家のご令嬢だという設定はまったくありません。
正真正銘、アンジェレッタ・モントバーニではなく、アンジェレッタ・ロッシです。
やはり天使のような優しい性格の持ち主で、ロミオの支えであり続けます。
そして、自分の死を受け入れる覚悟をもった、その見た目の儚さからは想像もつかない強さを持った女の子です。
本当にあの二人の夫婦のどこをどうしたら、こんな天使のような娘が生まれてくるのでしょうか。
ロッシ親方も悪いヤツじゃないけど、やっぱ似てませんよねぇ(笑)
ロミオは、ロッシ親方のところに引き取られてきたっていうことも1つの幸運だったのでしょう。
アンジェレッタという支えがなければ、たとえロミオでも死んでしまっていたんじゃないかなぁ……。
原作を読んで、改めてそう思ったり。



 まぁ、何だかつらつらと語ってしまいましたが、アニメにはアニメの良さが、原作には原作の良さがあったし、
どっちもどっちかな、という感じ(何を偉そうに)
でも、どちらかといえば、やっぱり私はアニメ派です(笑)